共感覚(シナスタジア)という言葉をご存知でしょうか。
『音に色や具体的なイメージされたものが見える』
『文字に色がついて見える』
『言葉に味がついているように感じる』
これは、比喩表現ではなく、共感覚を実際に持っている人たちの感覚の例です。
人間が持っている五感(視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚)は、通常それぞれの機能を果たしています。
例えば、目で見たお菓子の情報(視覚)以外のもの、味(味覚)や匂い(嗅覚)を感じ取ることはできません。
しかし、共感覚を持っている人たちは、目で見たときに、同時に別の五感のものも感じ取っているのです。
人間の脳機能は、五感をそれぞれの領分により情報処理をしています。
原因は詳しく解明されていませんが、共感覚を持つ人たちは、そのそれぞれの領分で情報処理をする脳機能が通常よりも密接に関わっているのではないかと言われています。
そして実は、共感覚と自閉症スペクトラムには強い関わりがあるのではないかとされています。
近年の研究で、通常、共感覚を持っている人は全体の7.2%に対して、自閉症スペクトラム障害の人たちは2倍以上の18.9%もいるという研究調査をケンブリッジ大学自閉症研究センターが2013年に出しています。
自閉症スペクトラム障害や傾向にある人たちは、色々なものにこだわりをもっている場合がとても多いです。
大きな音を極度に嫌っている。お気に入りのある一定の音楽がある。こだわりの好きなもの(ぬいぐるみやさわり心地のいいもの)がある。
もし、共感覚を伴ったこだわりなのであれば、大きな音に対してチクチク痛みを伴うような感覚を感じているかもしれない。
好きな音楽を聞くとその音から明るい気持ちになるような色を感じているのかもしれない。
好きなものからいい匂いを感じているかもしれない。
その感覚を実際に共有することはできませんが、一つの知識として理解しておくことで、もしかすると自閉症スペクトラム障害のことをより理解できる一助になるかもしれませんね。