『緘黙』という言葉をご存知でしょうか?
意味は、口を閉じてしゃべらないこと、押し黙ること、無言
とされています。
ここでは、緘黙がある特定の場所で出てしまう『場面緘黙症』についてお話します。
そもそも、場面緘黙症というのは、主に小児や低学年くらいの子どものときに見られる症状で、ある特定の場所だと話すことができなくなる(家庭内だと話すことはできるが、園や学校など、不特定多数の場で話すことを求められると話せなくなる)というものです。
引っ込み思案や人見知り、極度の恥ずかしがり屋でも同じような状態があるかと思いますが、この状態が一カ月以上続くようでしたら、場面緘黙症の可能性があります。
場面緘黙症については、詳しい原因などは解明されていません。
緘黙症の子どもたちの多くは、知的の遅れや学習障害などはありません。また、家庭内では普通に話してコミュニケーションがとれます。
原因を考えるときに「家庭内のしつけの問題」や「本人が甘えているから」というように考える場合もありますが、現状の研究では、そのようなことはあまり関係ないとされています。
一つの要因とされているのが、緘黙の子どもたちの多くは、不安になりがちな傾向があるということがあるそうです。そのため、本人が過度な不安を感じるところにおいて緘黙の症状が出てしまうのではないかと多くは考えられています。
緘黙に関して、本人の慣れなどで自然と改善される場合もありますが、話すことができない不安がさらに強くなり、より緘黙が強化される場合もあります。
治療法としては、まず、専門機関に受診することと、園や学校等と子どものことを相互理解を行い、本人の不安が取り除かれた場を作っていあげることが必要です。大勢に囲まれて話すことに対する不安を取り除き、話すこと、コミュニケーションをとることに楽しさを感じることで、不安なく話すことができるようになるという園や学校での合理的配慮が必須になってきます。
まだまだ認知度の低い症例ですが、当事者の子どもたちは不安感や困り感を持ちながら生活しています。
この「生きづらさ」を解消するためにも、正しい知識、理解が必要です。